「四角号碼(しかくごうま)」をご存知でしょうか?
中国ツウの方でもご存知の方は少ないのでは?
ここでは中国文学科卒らしい(?)お話をさせていただこうと思います。

みなさんは漢和辞典を引くとき、普段どのように引いていますか?
「部首引き」が一番メジャーですよね。
他にも、画数で引いたり、音訓で引く方法もありますよね。
でも、部首がどれをとっていいかわからなかったり、画数も多くて、読み方もわかんなくても引ける方法があるのです。

それが「四角号碼」です。

読んで字の如く、四すみの番号ということで、漢字の形を4ケタの数字で表す方法です。
横棒だとか、カドがあるとか、交差しているとかの特徴を10種類にわけ、それぞれ、0から9までの数字に置き換えられています。
漢字一文字の4つのカドをその数字に当てはめ、左上、右上、左下、右下の順に並べて、4桁の数字を作るのです。

「四角号碼」に対応している辞書(あんまりないけど)ですと、その番号順の索引がついていて漢字の掲載しているページがわかります。
「四角号碼辞典」なんていうのは、その番号順に漢字が掲載されている辞典のことです。

古典などを勉強すると、読めない字やゴチャっとしてて「これ、つくりはどうなってるの?」とか思う漢字がいっぱい出てきます。
中には、普通の漢和辞典にも載っていない字もあるわけです。
そんなときは「大漢和」なんていう、漢和辞典の王様を引くのですが、これがまた大変。
全13巻とかあるんですよ。
でも四角号碼を知ってればけっこう早く引けます。

でも日本はもちろん、中国でも「四角号碼」はあまりメジャーじゃないんです。
どんどん廃れていっているのか、もとから普及してないのかよく知りませんが、私はもっと普及してもいいと思うんです。

現代中国語の辞書は、基本的にピンインで引くじゃないですか?
でも読み方だけ知りたいってとき、ありませんか?
タクシーに乗ってどこか行こうと思っても発音が分からない。
そんなとき新華字典みたいに小さい「四角号碼辞典」があればいいのに!っていつも思うんです。
いちいち部首索引を見る必要ないんですもん。

それに四角号碼辞典だったら、漢字を初めてみる外国人でも引けると思うんですよ。
純粋に形だけ見ればそれで引けるんですから。

では少し説明していきましょう。

まず、下の表をご覧ください。
筆形は文字で表せないものがたくさんありまして抜けているものがあります。
ご了承ください。

筆名 番号 筆形 字例 説明
復筆 主病広言(上の部分) 点と横線が結合している


天(上の部分)土(下の部分) 横線
ハネ 活培(サンズイの下部)兄風(最後のハネ) ハネ、左から上、左から右斜めへのハネ
h 旧(左)山(左右) 縦線
丿亅 千(上部)順(左部)力(右下)則(ツクリ右) 左へのハライや左へのハネ
宝(上部)社(ヘンの上部)
軍(一画目)外去亦(最後の点)
右ハライ 造(シンニョウの下部)瓜(最後のハライ) ハライ


古(上部)草(上部と下部) 二つの線が交差する
交差 対(ヘンの下)式(一、二画目)
皮(上下)猪(ヘン上部とツクリ右ハライ)
青(上二本と縦線)本(縦線) 一本の縦線が二本あるいは
二本以上の線を貫いている
手ヘン等 打(手ヘン)戈史(縦線)泰(上部)申(中央縦線)
口囗 号扣(口の部分)国甲由曲(外側の四角) 四角形
目四(外側の四角)
¬レ 刀(右上)写(右上)亡(右下)表(左下のハネ) 一画が下あるいは右へ曲がるカドがある
「」 陽(左上)兵(左上)雪(右下) 2画が接しカドを作っている
分(上部)共(下部) 八の字形
人入ソ 余(上部)央(下部)羊(上部)午(上部) 八の字の変形
尖(上部)宗(下部) 小の字形
小ツ 快(ヘン)木隶(下部)当(上部)糸(下部) 小の字の変形


この表は「四角号碼新詞典」をてきとーに訳してみたものです。
ちょっと違うかもしれませんが、
おおよそこのように0から9までの10種類に分けるのです。

では実際に漢字を数字に置き換えてみましょう。
ここでも「四角号碼新詞典」の例を写させてもらいましょう。

「端」という字をあげてみます。

まず、左上のカドからです。
”亠”ですね。
これは「0」です。簡単です。

次に右上です。
”」”のような気もしますが、あくまで右上のカドとしてとらえてください。
するとこれは”|”の縦棒を採用します。
番号は「2」です。

そして、左下のカドです。
左から右上へハネてますので、横棒と同じ「1」です。

最後に右下のカドです。
”」”で、「2」ですね。
一瞬「7」かとも思いますが、「7」でしたら2画でカドを形成してなくてはいけません。
この辺は慣れてくればすぐ見分けられます。

0   2
 端
1   2   と、なりますね。

さて、これらを順に並べると「0212」となります。

だいたいお分かりいただけたでしょうか?

もう少し例を挙げてみましょう。

0   1      4   3      9   7  
 顔      截      烙
2   8      2   5      8   6 
「0128」    「4325」    「9786」

これが基本です。
これらの字は4箇所がなんとなく分かれていたので考えやすいですね。
逆に単純な字では一画の上下を分けて考えたり、一つを採用したらのこりは「0」とする場合が出てきます。


それらをふまえてもう少し詳しく見ていきましょう。


<甲>一画をカドごとに分けて番号をふることができます。
    2     4  0        
例:             
    6          7  


<乙>上下でつながっていても形ごとに上下に分けて番号をふります。
    9  0   4  0   4  0   9  0
例:                  
    5  0   8  0   9  0   8  0


<丙>下の部分が一方に偏っている場合は実際の位置に番号をふり、
     欠けてしまったカドは「0」とします。  

    1  0   1  7   
例:          
           
     但し、「弓ヘン」など、ヘンとして使われている場合は左下のカドを「2」とします。
    1  1   6  7
例:        
      3     2


<丁>「国ガマエ」「門ガマエ」は、下の左右のカドは内側の形を採用します。
    6  0   6  0   7  7   7  7
例:                  
         4  0   2  4   4  4
     但し、「国ガマエ」「門ガマエ」の以外に、
   上下左右に他の部首が付くときは「カマエ」の部分から番号をとります。

例:  苗     恩    泪    睦    簡     
    4460  6033  3  1  8822


<戊>一画が同じ形のまま上下左右にわたる場合は、
      先のカドで採用し後のカドは「0」とします。

    1  0   2  7   3  0   8  0
例:             之     全
    1  0   3  0   3  0   1  0

    2  3   3  3   3  4   5  4
          心     斗     持
    0  0   0  0   0  0   0  4

    1  0   4  0   6  0   8  0
                    
    0  0   0  0   0  0   0  0

と、まぁ、こんな具合です。
パズル感覚ですよね。

あと、注意することは日本の漢字と簡体字では微妙に異なりますよね。
「以」も簡体字だと、最初の一画目で「レ」のようにハネまで書いてしまう。
日本語だと「2810」だと思いますが、簡体字だと「2870」になります。
もちろん、日本語の旧字体とかも変わってきますね。
使う辞書によって字体を考慮してください。

では、機会がありましたら是非お試しくださいませ。



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